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美しいチェロの音色とともにボディー & ハートストレッチ

 

 高度情報化におけるストレスの増加や急速な高齢化など,現代の日本における健康問題は深刻化している。このような現代社会において,どのようにして国民の生活の質(Quality of Life: QOL)を向上させ,健康寿命(日常的に介護を必要としないで,自立した生活ができる生存期間)を延伸させられるかが大きな課題となっている。

 厚生労働省(2012)の報告によると,65歳以上の高齢者のうち,認知症患者数は,2012年の時点で約462万人にのぼる。また,認知症になる可能性の高い,軽度の認知障害を持つ高齢者も約400万人であり,認知症およびその予備軍を合わせると,65歳以上の高齢者の約4人に1人と推計されている。

 また,厚生労働省(2011)の報告によると,日本国内のうつ病を含む気分障害の推計患者数は,95万8千人に達しており,年間約3万人にものぼる自殺者の原因の約40%を占めている。自殺やうつ病での休業や失業などによる経済的な損失額は,約2兆7千億円にのぼると推計されていることからも,早急な対策が求められている(厚生労働省,2009)。

 

 近年,認知症やうつ病に関する研究が進んでおり,介護予防や疾病予防の観点から,治療よりも“予防”に重きを置いたアプローチ方法による研究も推進されている。概して生活習慣の改善による方法は,費用対効果も高いことから,様々分野からの提言が行なわれている。特に,運動や身体活動の促進による改善方法では,記憶力低下の抑制や認知機能の改善などが認められ,実際に運動に伴う脳内の神経伝達物質の増加など,生理学的な変化も確認されている。さらに,うつ病患者に対して,抗鬱剤の投薬と運動療法とを併用したところ,投薬治療のみよりも有意に効果が表れたとする事例も散見している。

 

 これらの結果から,日常生活における運動行動を促進し,身体活動量を増加させることは,認知症やうつ病の予防には有効な手段であると考えられている。ここで紹介するチェロ体操は,強度が少し高めの運動をする前に行う際,身体の準備・調整を行うために実施する基本的なストレッチ運動をすべて網羅しており,身体各部位の筋肉の緊張と弛緩、関節の可動域を広げるのに有効である。また,リラクセーション効果をもたらすチェロの音色に乗せて,トレーナーの動きに合わせて全身のストレッチングを行うことが可能なプログラムが組まれている。中高年や高齢者でも,低強度に抑えたストレッチングの内容であるため,転倒やケガをする心配も無いことが特徴である。聴覚と視覚による刺激とともにストレッチングを行うことにより,身体の各部位のストレッチング(ボディーストレッチ)とともに、気分の転換や安定化など,こころのストレッチング(ハートストレッチ)にもつながることが期待される。

 

国際基督教大学スポーツ心理学准教授

清水 安夫